読んで良かった。
検察(の一部)は酷い。本書を読み、検察の「歪んだ生き様」に対して、本当に怒りを覚えた。村木氏を最初に取り調べた遠藤裕介検事は「執行猶予がつけば大した罪ではない」と宣ったそうだ。あり得ないわ。
実は、遠藤検事は「マシなほう」である。本書では「クソ検事」や「検察組織のクソっぷり」が夥しく出てくる。読み進めるほどに気分が悪くなった。
村木厚子氏の逮捕は2009年のことだったそうだ。
村木氏関連の報道は割と覚えている。その当時、村木氏は明らかに逮捕前から「悪人」として扱われていた。(検察が計画した)逮捕前の段階で「本丸いよいよ逮捕か」みたいな報道もあったはず。当時、私はそれらの報道を鵜呑みにしていた。この書籍によれば、それら報道は検察組織の「意図的な情報の放流」の結果であり、世論誘導・形成を狙っていたのであろうと。
この書籍を読み、私は郵便不正事件自体をあまりよく覚えていないことに気づいた。ネットを検索してみて、「郵便不正事件」自体が相当に酷い事件だったことを改めて知った。今回は本当に「Wikipediaはありがたい」と思った。そんな私は初めて寄付をしてみたよ。1000円ちょいだけどね。
私がマスコミにだまされたこと、それこそ枚挙に遑がないが、その中でも最も印象深いのは「松本サリン事件」である。既に30年以上前ですな。ま、あのときだって、マスコミも警察も真面目に仕事をしていたのだろうけど。
最近(でもないか...)でも「大川原化工機事件」というのがあった。そちらも改めてWikipediaを見てみた。検察(の一部)も加担したようだが、酷かったのは警視庁公安部ってヤツなのですなぁ...
検察官も警察官も、というか、公務員ってのは基本的には真面目だと思うんですよね。当たり前だけど。そのこと、逮捕当初の村木氏も期待していたそうだ。そして一部の輩には、それこそ見事に裏切られる。
キムタク主演の『HERO』とか、松潤の『99.9-刑事専門弁護士』、竹野内豊主演『イチケイのカラス』など、「検察や法廷を舞台とするドラマ」はそれなりに存在する。私が幼い頃は『太陽に吠えろ』とか『西部警察』みたいに、警察ドラマは結構あったものの、検察官や裁判官を主人公としたドラマなんて無かったような気がする(けど特に調べるつもりもない)。
そういった意味では、検察や裁判というシステムに対して「疑問」や「問題意識」を持つマスコミ関係者やドラマ作家が増えたのだろう。日本という国、以前よりは健全かつ成熟した世界になっているってコトなのかな?
念のため(?)、この書籍で一番重要だと思った部分を引用する。初版の113ページ、村木氏による文面。
事件については、証拠改竄などの刑事事件の捜査とは別に、最高検が検証を行うということでしたので、期待をしていました。問題が起きた時に、組織が自ら事実を解明し、問題の所在を明らかにすることはとても大切ですし、検察も国民の信頼を回復するためにはしっかりした検証を行うだろうと思っていました。
それだけに、一二月二四日に公表された検証結果報告書を実際に見た時には、落胆しました。
私についての逮捕、起訴、公判遂行の各段階における判断の誤りについては率直に認めていただきました。前田元検事による証拠改竄の経緯も、ある程度明らかになりました。しかし、肝心なところに、まったく触れられていません。
この事件に私は関与していませんし、関与をうかがわせる客観的証拠もまったくなかったのに、私が関与したとする事実に反する供述調書が大量に作成されました。裁判所が特信性を否定したり、信用性がないと判断する証拠がたくさん作られたのです。検証報告では、そうした取り調べの実態、すなわち、多数の検事により事実と異なる一定のストーリーに沿った調書が大量に作成された過程そのものは、まったく検証されませんでした。
(中略)
普通、問題が起きたときに行う検証というのは、まず事実を明らかにして、原因を突き止めて、それに対する改善の提言を行うはずです。それがなされることで、改革が行える。ところが、最高検の検証では、肝心のところでそれができていませんでした。元判事、元検事、弁護士という三人の法律家が検証アドバイザーを務められ、いろいろ意見を言ってくださったようですが、それでもこういう結果でした。
本書の末尾近く、江川紹子氏の「解説」には、犯罪に手を染めた前田恒彦検事についての詳しめの記述がある。彼と上司2名は前田氏の「証拠改竄という『犯罪』」のために逮捕される。彼ら3名とその弁護団は、その取り調べを行う最高検察庁に「取り調べの録音・録画」を要求したそうである。そして、最高検はその要求を拒否したそうだ。初めて知った。
前田検事たちと最高検、どちらも清々しきクズだ。
江川紹子氏もそのように思ったからこそ、その「事実」を解説に記したのだろう。書籍で他人を口汚く罵ることなんて難しかろう。
私が代わりに罵ります。検察組織(の一部)や法曹界(の一部)は相当なクズ。ヤバいくらいにクズ。
この書籍を手に取るまでは「『犯罪取り調べの可視化』って必要そうだけど、『取り調べ全件』について行うのはさすがに無理筋だよなぁ...」って思っていた。でも、私はその考えを改めた。検察や法曹界の動向を今まで以上にきちんと見守ることにした。
ちなみに、本書を手に取る気になったのは、以下の記事を読んだためである。そちらにも「執行猶予なら云々」という話が出てくる。検察(の一部)、マジヤバい...
「そうですね」と答えただけで「罪をみとめて謝罪した」ことにされ...無実の被告人・村木厚子さんを追い詰めた検察官の"捏造の手口" | 文春オンライン
過去の関連する日記
「動機の解明」という妄想(2007年3月)
裁判員裁判なんて、やめちまえ。(2015年10月)
『殺人犯はそこにいる ─隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件─ 』と『血痕は語る』(2024年11月)


