地学基礎という科目を毎年担当するようになり、近年は以下のようなことを地震の学習の際に伝えている。
・「熊本地震」は1日ちょっとの間に、続けて震度7の地震が起きたが、その時は二度目の方がマグニチュードが大きかった。そのような「後からの揺れ」の方が大きい地震など、私はそれまで出会ったことが無かった。
・「北海道胆振東部地震」は活断層すら無い場所での地震だったが、震度7だった。従って、日本はどこでも地震が起きる可能性があると言える。
・3秒後に南海トラフによる大地震が来るかもしれないし、30年後なのかも知れない。何しろ、いつかは来るはずだ。
・学校の校舎内に居る限りは、ここが崩れることはなく、燃える物もほぼ無いだろう。また、標高40m超えのこの場所には、津波は襲ってこない。
私自身は「東海地震は来る」「警戒宣言が発令される」と教え込まれた世代だ。
そして、その地震は来ないまま、兵庫県南部地震が起き、東北地方太平洋沖地震に出会った。
10年ほど前、日本地震学会は「東海地震は予知できない」と、大幅に舵を切った。
最新版の東京書籍の教科書『地学基礎』からは、「全国地震動予測地図」に類する資料は掲載されなくなった。これは良いことなのだろう。でも、私はあの「日本海溝が細分化されている画像」を毎年生徒に見せている。地震予知の不確かさを生徒に知ってもらうためだ。あの「今後30年間に...」なる地図においては、南海トラフ周辺で起きるとされる「東海・東南海・南海地震」の発生確率は飛び抜けて高い。
小沢慧一氏の著作『南海トラフ地震の真実』では、その「南海トラフでの高い確率」が「政治的」なものであるということが示されている。
氏の丹念な調査の過程で、(関東地震について大森房吉と論争をしたとされる)地震学者として有名な今村明恒という名前も出てくる。
島崎邦彦という人、私は以前より「戦犯」であると見なしている。その罪は「地震は予知できる」という考えを世に広めたことだ。そのお方もきちんと書籍に「生きて喋るヒト」として出てきた点には少し驚いた。
とても良くまとまっている書籍であり、読みやすい。そして実際に、その書名に違わず、通常の人間が知ることの少ない『真実』が描かれていると感じた。
小沢慧一氏は1985年生まれだそうで、その点にも驚いた。更なるご活躍を願うばかりである。
過去の関連する日記
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「自然災害の予見可能性」とやらについて(2019年9月)