東京私学協会・私学教育研究所主催「理数系教科教育研究会(理科・化学)『見学会』」である「新元素・超重元素研究の最前線 理化学研究所を訪ねる」に参加してきた。
この「仁科リニアック棟」の一角(写真の建物のさらに左奥らしい)で、113番元素の検出が行われたそうだ。
今回、主に見学したのは、この建物に収まっているらしい、113番元素のための「亜鉛」を加速したという『線形加速器』ではなく、隣の建物「重イオン加速器施設『RIビームファクトリー(RIBF)』」 に収まっている円形加速器(リングサイクロトロン)であった。
私が和光の理研を訪れたのは、2回目である。前回の訪問も私学教育研究所あたりが行った「見学会」だったように記憶している。その時は、いろんな研究室を見学させて貰った。そして、帰宅して気づいたのは「腕につけていたクォーツ時計が劇的に遅れていた」ことである。強力な磁界の中に身を置いたことがあったため、そのような現象が起きたと解釈した。
今回の見学で、私は「サイクロトロン」と「シンクロトロン」の機構の違いを、やっと理解した。厳密に言えば、なんとなく「絵面」をみてぼんやりとは理解していた「違い」が、見学時に説明してくれた方(お名前は失念した)の話でキッチリと分かったということだ。
線形加速器は筑波で見たことがあり、シンクロトロンはJ-PARCで見たことがある。
これがその「超伝導サイクロトロン」である。
強力な電磁石を収めるため、それもやたら強い電磁石の「N極6個同士」、「S極6個同士」をきちんと配置するために、「東京タワー2つ分、8,000t超の鉄の塊」となっているそうである。
スペックはこの「銘板」にある程度書いてある。重さの部分が飛んじゃって写ってないけど。
聞いて面白かった話を羅列する。
・FMラジオ局程度の周波数と出力を用い、陽イオンを連続的に加速している。
・夏場は電力が逼迫する季節なので、電力を食う加速器はメンテナンス時期となることが多い。
・この加速器では、ウランを適当な原子にぶつけて壊すことにより、「中性子過多の原子核」や「陽子過多の原子核」を作ることができる。
113番元素についても話を聞いた。
・ビスマスに亜鉛をぶつけるが、その速度が重要であった。速すぎれば単純にぶつかって壊れるし、遅すぎると反発してしまう。計算上「ちょうど良い速度」となる「光速の10%」で衝突をさせ、3回だけ観測された。
で、今改めて科研のサイトを見てみた。
3個目の113番元素の合成を新たな崩壊経路で確認 | 理化学研究所
ここが凄いと思った。
3個の278113の発見までに、2003年9月5日の実験開始から照射日数は通算553日、照射した70Znの総量は1.35×1020個(重さにして15.8 mg)を費やしました。
使った亜鉛原子の数は多い。そして、当たり前だが、軽い。
ああいう「重厚長大」なものって、見ていて面白いことは面白いですね。
パンフレットやポスター、下敷きなど、お土産を貰いました。でも、思えばその金の出所は税金なんだけどね。
過去の関連する日記
新元素113(2016年1月)