ちょっと前から、ってかこのニュース見た瞬間から思っていたことがあるので披露します。
小学生の4割「太陽が地球を回ってる」 国立天文台調査小学生の4割が「太陽は地球の周りを回っている」と思い、3割は太陽の沈む方角を答えられないことが、国立天文台の縣(あがた)秀彦・助教授らのアンケートで分かった。回答者はそれほど多くないが、身の回りの天文現象への関心や知識が薄れている傾向が見て取れる。21日から盛岡市で始まる日本天文学会で発表される。01~04年に、北海道や広島など8都道府県の14小・中学校約1700人にアンケート。このうち、太陽と地球の関係については、授業で天文を学習した公立小4校の4年~6年生までの348人が回答し、「地球は太陽の周りを回っている」と正解したのは56%。42%は「太陽は地球の周りを回っている」を選んだ。 また、太陽が沈む方角を公立小9校720人に尋ねたところ、「西」と答えた子どもは73%で、あとの3割近くが正確に答えられなかった。都市部ほど正解率が低い傾向があり、縣・助教授は「夕日が沈むのを見るような自然体験が子も親も失われている。情報があふれる一方、テレビやゲームなどに時間を奪われ、身近な現象を学ぶ機会が減っている」と指摘している。 誤答の多い結果について、調査した教師や研究者らは、今の小学校の学習指導要領では教える内容が厳選されていることを理由に挙げている。「地球の自転・公転はもちろん、月の満ち欠けの仕組みなども教えるようには明記されてはいない。小学校では、天体や宇宙を大きくとらえられるような授業が必要だ」と話している。 (09/21) あさひこむhttp://www.asahi.com/edu/news/TKY200409200233.html
ま、結構このネタはblogなんかで取り上げられているのですね。ある意味衝撃的なニュースなように見えますが、私もそのblogerさんたちの一部(たとえばhttp://www.cs.kyoto-wu.ac.jp/~hirakawa/diary/archives/200409/222326.php)が述べていらっしゃるように、アンケート結果自体は大した問題ではなく、その記事としての取り上げ方が問題じゃないかと思ったりしたわけさ。
大体、地球が太陽の周りを回っているとか、地球がコマみたいに(もちろん1日で1周というゆっくり?とした回転らしいのだけれど)回っている何てコト、まっとうな感覚器官や脳みそを持ったヒトなら気付くわけ無いのだ。
アサヒコムの記者は「地動説が正解、天動説は不正解」なのだ!って決めちゃってる。多分その記者の(教わった、あるいは自分で学んだ、数十年間進歩していない)宇宙観では、太陽が中心なんじゃないかな?
太陽系も銀河系という巨大な渦のなかに存在しており、他の恒星から見ればで相対的に移動している(らしい)なんてコトは知らないのじゃないかしら。ま、新聞記事ってのはblogみたいに字数無制限で幾らでも書きたいことを書けるわけではなく、どうしても推敲という作業が入るでしょうから、そんな馬鹿っぽい文章になってしまうのは仕方ないのかも知れないが。
で、私が最近心がけている「元ネタの参照」をしてみた。
Y01a 小学生の天文・宇宙に関する理解とその改善策の提案 -天動説支持者は4割-○縣秀彦(国立天文台),成田直(東能勢小),西田昭徳(春江西小),本田輝政(同志社香里中・高),飯田毅(ミュージアムパーク茨城県自然博物館),加藤忠(NTTファシリティーズ),川井和彦(理研),高幣俊之(理研),山縣朋彦(文教大)
現行の学習指導要領小学校理科では,「地球は丸い」ことも,「地球は自転している」ことも,「地球は太陽の周りを公転している」ことも扱っていない.児童の天文学習への興味・関心や知識・理解の実態を調査し,児童の学びの現状を把握することで,小学校の天文学習カリキュラムについて検討した.7都道府県,14の学校で計1500名を超える児童・生徒がアンケートに回答した.その結果,「太陽が地球のまわりを回っている」と回答した児童が4割にのぼるなど,幾つかの学習指導上の問題点が明確になった. 現行学習指導要領の小学校天文分野は,以前小5,小6で扱われていた月や星の観察等が,小4にまとめられたため,学習内容が極めて不十分なものとなっている.さらに,太陽,月,星の学習で,観察した事実のみにこだわっているため,結果として運動のみを重視する内容にとどまっている.次期学習指導要領作成においては,太陽,月,地球が球体であることを前提として示し,太陽系を鳥瞰する図を用いることで,地上から見た天体の動きが宇宙での各天体の位置関係等と関連づけて理解できるよう配慮すべきである. http://www.asj.or.jp/nenkai/2004b/html/0122.html
太陽系を俯瞰する図とか、惑星の動きとかを小学生の段階で扱っちゃった日には、一般的な日本人における宇宙観は「理解不能」っていう括りで終わっちゃうんじゃないかしら?いい大人、具体的には私の職場におけるお隣の席の巨大な地理・歴史科の女性教諭なんかは言っている「私って宇宙のこととか全然わかんないのよねー」ってコト。ああいった「立体的なモノを頭の中で組み立てる作業」ってのはヒトによっては向き不向きもあるみたいですし、三球儀とかを見たコトあるヒトの方が、三球儀を見たこと無いヒトよりも「太陽系の構造」と「地球からの他の星の見え方」は理解できるのでしょうね。
何しろ、日本天文学会のページってヤツを初めて訪問してみた私ですし、研究発表の全文が引っかかってこなかったから…
ってここまで書いてもう一度調べてみたら引っかかってきました。
http://centaurs.mtk.nao.ac.jp/~agata/research1/index.html
で、(恐らく)パワーポイントから作成されたpdfをざっと眺めてみた。
♪いーじゃなーい(ギター侍風)
おいおい、尻すぼみですな、私よ。
でも、やっぱり何事もおおもとのネタを見てみるべきだね。(見知らぬ)アガタせんせ達の仰ることはもっともであると思いますよ、私は。
あー、はやく『新しい歴史教科書』読みたいなー
話を戻し、ひとつ「へー」を
地球の自転によって東京は毎秒400mの速度で移動している。
これは地球の公転による移動速度に比べれば圧倒的に小さいのです。自転の速度は地球の中心を基準として考えた場合であり、公転の速度は太陽を基準として考えた場合の話しです、モチロン。相対性理論は気になりながら真面目に読んでいない私である。しかしなにしろ、実生活上は地動説より天動説の方が都合が良いやな。
それから念のため言っておきますと、指導要領を一番気にしているのは恐らく教科書会社でありまして、現場の教員である私は教えたいように、生徒がわかりやすいと思われるカタチで授業を行っておりますなぁ(生徒が判っているかどうかは別問題)。
トキに教科書に書いてない話をしてしまうのは、自分を博識に見せたがるという教師の性もあろう、恐らく。