登山でミスコースした話(約35年前)

道に迷いかけたのは、九州の「えびの高原」は韓国岳でした。
国土地理院の5万分の1地形図を持っていたから、きちんと帰ってこられた。

その事故が起きたのは、大学時代の徒歩旅行サークルでのことでした。オプション?で行った散歩中。
えびの駅(旧加久藤駅)から7日かけて佐多岬まで歩いた旅行でした。その1日目は、「えびの駅」から「えびの高原」までの移動でした。その旅行ルートを立案したのは、大学2年だった私でした。今でも、その際に用いた全国版『マップル』は保管してある。捨てられない。
年に3回ある徒歩旅行合宿は、旅行の立案者がプレゼンをして、多数決で決める形式でした。概ね1日で20km強~40km弱程度歩くので、「適切に宿泊施設があること」が必須条件でした。そういうスタイルのサークルだった。テント等は使わず、「道の果てるところ」すなわち(基本的には)岬がゴールでした。あのサークルの人間は、絶対に『岬めぐり』が歌えるのだった。

徒歩旅行の合宿は夏・秋・春の年3回ありました。その九州での合宿は秋合宿でした。
大学1年と2年だけが「秋休み(9月半ば~10月末)」に旅行に行けるのです。3年次以降は教育実習が「秋休み」に行われるため、旅行には行けません。1~2年次は年に3回の合宿があり、3~4年次は2回。フルに参加すれば10回の合宿に参加できます。「10回完歩」というのが、そのサークルにおける『名誉』でした。学年で一人居るか居ないか。ま、旅行費用が一番のネックでしょう。概ね学生の半数は下宿生(地方出身)であり、メチャ裕福という場合は少ない。
自分の学年(7名だった)では、誰も成し遂げられなかったはず。私は4年の夏合宿だけは不参加だった。卒論を作成する必要があったから。私が知る限りの先輩後輩で、理科所属の人間で10回完歩は居なかったはず。
なお、10回完歩、自分の1~3コ上の学年には達成者がいらっしゃったはず。みんな社会科だったかも。

説明が長くなった。
1990年の秋合宿初日は、前述の通り「加久藤駅」~「えびの高原」でした。20kmも無いので、5時間ちょい(昼休憩含む:昼食のお弁当は宿に予め依頼しておく)の移動でその日の行程は終了。
宿に着いてから、私ほか3名の男子で「近くの山に登ろう」ということにしたのです。後で同級生に怒られるのですが、出発の段階で16時を過ぎていました。なお、今ググってみても、えびの高原には民宿がありません。35年前には存在していたのですけれど。

で、以下の赤線のルートで韓国岳へ登りました。帰りも同じルートを戻るつもりだった。
karakunidake.jpg

最終到達地点でのショット。同学年の腐れ縁の友人と共に。風が強くて寒かった。
1990kirishima.JPG
高千穂峰や新燃岳が見えました。当時、新燃岳という名称は知らなかったけど。高千穂峰は『山』って形でした。神々しかった。韓国岳火口の断崖絶壁も凄かった。私の生涯で、あれほど断崖に近づいたことはありません。ほぼ垂直な崖が100mくらいあったはず(国土地理院の地図による)。そこを覗き込んだりしてました。

で、前述の通り「同じルート」を戻るべきでしたが、降りるルートをサクッと間違え、青で示したルートを進んでました。しばらくして道が違うことに気づいた。
徒歩旅行サークルでは、基本的に「全徒歩行程」について、5万分の1地形図を持つのが「しきたり」でした。神保町や新宿にわざわざ買いに行ったりして。ま、時に買わない人も居たみたいだけど。
地図を持っていて、良かったですね。割と早期に間違えた理由(往路と異なる箇所で山頂を離れた)と、帰るべきルートが把握できたから。

そのミスコース途中の傾斜が緩やかな部分、「何しろ、急いで歩けば宿だ」と思って小走りで移動していたところ、山側(右側)から「ガサガサ」って謎の音が聞こえました。明らかに我々4人とは違う生物が、笹藪の中に居たはず。
私は声を張り上げたか、歌でも歌ったはずです。あの生物は何だったのだろう。落ち着いてから尋ねたが、友人達は気づかなかったと言っていた。

ま、最終的には18時過ぎ、結構暗くなってから宿に戻れたのですが、携帯電話も無い時代、サークルのメンバーには、大変心配をかけてしまいました。「16時過ぎに山に登るなんて、あり得ない!!!!」と山好きの同級生に怒られましたっけ。
なお、宿のおじさんからは「高千穂峰が見えたんだ、良かったね」的なコメントを貰いました。韓国岳に登っても、常に高千穂峰が見えるわけでは無かったらしいです。


先日、2023年の「山行遭難者」についてのニュースを見たので、この話を思い出しました。
記したことがあったと思っていたが、特に記していなかった。


過去の関連する日記
(東)桜島魂不屈の心(2016年4月)
まわるまわるよ時代はまわる(2016年6月)

ここにあるのは2024年6月14日 01:23の日記です。

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