この記事、理科教員の方ならば「不親切な表現」に気づかれるかも知れません。それは、「同じ実験をやらされた高校生が、この記事をググって見つけた」際に、この記事が「ヒントにならない」ようにしているためだと解釈してください。
杞憂か?
高1化学基礎、「物質量」や「1molの理想気体の体積」あたりを学習した後に、その実験を実施しました。
十数年前は、この「使い捨てライターのガスを水上置換で捕集し、体積と質量から分子量を求めさせる」という実験は、化学1B(だったハズ)の教科書(出版社は失念)に載っていた。で、今使っている東京書籍のヤツだと、「ステアリン酸の単分子膜からアボガドロ数を求める実験」は載っているが、ライターのガス(ブタンのはず)の実験は載っていなかった。
「ステアリン酸の単分子膜」の実験、全然面白くないと思うのです。そもそも「ステアリン酸の単分子1個あたりの面積」が、「これこれこういう値です」って与えられてしまうから。そして、そこには疑問を挟む余地すらない。
強いて言えば、ステアリン酸が凝集する瞬間だけは面白い。「整列しているんだろうなぁ...」って思えるから。
ステアリン酸の実験をするくらいだったら、ガスの体積と質量から分子量を求める実験のほうが面白いと思う。で、生徒に行わせた。
念のため記しますと、化学基礎では「気体の状態方程式」は扱いません。「標準状態の気体は1molで22.4Lを占める」というコトを学習しただけです。
実験に際して配布したプリントはこいつです。一太郎で作成したものを、pdfにしました。
butane2023.pdf(453KB)
で、この実験をやらせてみたところ、分子量は「良くても53前後」となりました。基本的にはもっと小さい値が出てた。
で、生徒には「使い捨てライターのガスはブタンであり、その分子量は58なのだ。何故、分子量が小さく出たのか、それを可能な限り挙げてくれ。それがメインの課題だ」と伝えました。
私が考える限り、「分子量が小さく出てしまう理由」は、6つくらいありました。
このように「真っ当な値が出ない理由を考えさせる」というのは、「思考力」が試されるので、面白いのでは無いかと思います。ここ数年に生徒にやらせた実験の中では、優れた設計だと自画自賛してるので、この場に披露いたしました。
ちゃんと、4つくらい理由を挙げた生徒が居たのには、私も感心しました。甘めに評価はしているわけですが。