古典的な温度計の赤い石油(あるいは水銀?)が切れることは、ままある。
これは200℃まで測定できる温度計。指先の部分に「切れてしまった石油」がある。
情報としては、数十年前から「温めれば治る(ことがある)」ことは知っていた。
そもそも、なぜ「隙間」ができるのか。
私が経験したのは、全て「衝撃」が原因だった。机や床に落としたりして。プラスチックのケースに入れてあったのに、落としたことにより液が切れた(断絶した)こともある。ま、最悪は「破損」なのであるが。温度計はガラス製だから、バッチリ割れる。
「ただ加熱」しても、基本的に「間隙」は保たれたままになることが多い。つまり、治らない。微かに石油の蒸気が存在しているのだろう。それが「途切れた(液体の)石油」を押していってくださるのだ。この「面倒な事実」、理科教員の大半は経験があるだろう。
本年度、教科内の割り振りで、週に2時間は「理科室の整備」を受け持つことになった。毎週、ちまちまと洗い物や片付けなどをしている。
この間、自分が担当する中学2年の2分野、唾液アミラーゼの実験で、温度計を使う必要があった。
なお、この実験のちょっとしたコツをここに記してある。今使っている「指導書」には、私の主張(研究成果?)と同じ「綿球が楽かも」という記述があった。
で、ついでに温度計周辺の整備をした。空のケース(多分、中身は破損して破棄済)を捨てたり、ケース外装の「測定可能温度範囲」と中身を揃えたりした。
で、表題の「線が途切れた温度計」ですよ。
どうせ、理科室で何らかの作業をするのなら、楽しくて有意義な方が良い。腐れ日記のネタになるならベストだ。つーことで、記録をお送りします。結論から言うと、呆気なく温度計は元に戻りました。
水を温めても100℃前後にしかならないので、温度計は治りません。今回は「ごま油」と「ハンダ(半田)」を使いました。先週はごま油で「105℃まで測定可能な温度計」を、今週はカセロール内で融かしたハンダで「200℃までの温度計」を、治すことができました。
それぞれ、15〜20分もあれば、作業は完了すると思います。ガスの直火は、ガラスが割れる可能性が高そうですので、行いませんでした。
ごま油で加熱中。
周辺が混沌としているのは、本校理科準備室の仕様です。もちろん、私はなるべく綺麗に保ちたいのですけどね。
横の実験室で授業を受けてた生徒は、香ばしいにおいを不審に思った様子。
くっついたところ。
わたしは右から2番目をチェックしていたのだが、後から動画を見たら、一番右は先にくっついてた。
くっついたので、空冷中。
ハンダ煎のセッティング状況。
汚れていた陶製のカセロールを用いた。
さすがに、あの汚い準備室で200℃を越えるものを扱うのは恐ろしいので、広くて物の少ない理科室にて作業を行った。燃焼匙(黄色い三角形)とか、三角架も使いました。
加熱中。
ヤニ入りのハンダしかなかったので、煙が発生した。懐かしいにおい。
なかなか液が合体しない。
合体後、室温に。