その本を私に勧めてきたのは、職場の元同僚であり、故人である。約3年前に亡くなった方だ。国語科の教員だった。
彼は大学と大学院で、泉鏡花の研究をしたそうだ。それまで埋もれていた史料(?)を発掘し、修論に書いたと仰っていたが、詳しいことは分からない。
泉鏡花は、彼の影響で文庫本を以前に買って読んだ。それほど面白いとは感じなかった。文学史上の人物としては知っていたが。
で、彼から「『君たちはどう生きるか』は面白いから、読んだ方が良い。コペル君というのが出てくるのだ。子供向けなのだが、面白いのだ」と言われたことはあった。
最近、この作品が漫画化されたと聞き、「昔に勧められたきり、読んでいないなぁ」と心に引っかかり続けていた。
年末に書店に行った際、子供と一緒に書架を眺めていて、この『君たち』を発見したのだった。上海旅行に持っていくにはちょうど良いと思い、『天文年鑑2018』と共に購入したのだった。新品の、自分のための小説を買ったのは久しぶりだった。子供に「読むか?」と尋ねたが、その「胡散臭い書名」を見て、「読まない」と即答された。彼は今、ハリーポッターにハマっている。
で、その書物を読んでみた。
面白かった。
以上。