「高大接続テスト」とやらについて、一席

本年度は高校3年の担任であり、現時点で担当しているホームルームの生徒の9割は大学等の入学許可を得ている。私自身は、「推薦入試」ってシステムはあんまり好きじゃない。しかし、大学と高校生の間で需要と供給がマッチしているようだから、仕方ないことなのだろう。
しかしその一方、1年くらい前から「高大接続テスト」なんてヤツが文科省のカビ臭い俎上に上がっているようだ。
マジ、意味ねぇ。

過去、何度か記したような気がするが、入学する高校生の学力を保証したいなら、各々の大学が、必要な科目のペーパーテストなり、口頭試問を行えばよいのだ。そのほうが、大学教授のシゴトとしても楽になるだろう。ただし、口頭試問は公平性を保つのが難しいだろうから、ペーパーテストが一番無難なのであろう。古き佳きシステム。
(と、自分を棚に上げて言うのである。私の勤務先も高校での推薦入試を行っています。)

大学入試が厳格になれば、高校生も真面目に勉強せざるを得ないだろう。約20年前、私は若干の興味と多大なる義務感で、高校の授業を受けていた。
「大学全入時代」に近づけば近づくほど、学力が保証できない高校生は増えるだろう。で、話題(?)の「接続テスト」に落ちた生徒はどうするのでしょうか? 高校に残留でもさせるつもりなのかしらん?
「高校残留」だったら、高校のセンセイ方が「既に存在するシゴト」に真面目に取り組めば良いだけのことです。生徒の「原級留置」という措置です。

優秀な学生が欲しい大学は、厳密に入学選考のペーパーテストを行う。
高校の教員は、生徒が望むペーパーテスト突破力を育てる。
それだけ。

で、前にも言ったけど、義務教育段階でも「原級留置」はバンバン実施するべきだと思うんですね。初等教育(小学校まで)・中等教育(中学高校)・高等教育(大学等)それぞれが、自らの責任に於いて、学生を厳密に品質管理し、出荷すればよいのです。

結局、大学にしろ、高校にしろ、中学校にしろ、「ランク付け」は仕方ないコトなのだと思うのですね。主婦(や主夫)の日々の経済活動、例えば「スーパーでの買い物」だって、無意識にランク付けを行っています。「『辛そうで辛くない少し辛いラー油』、高いけど、美味しいのよねー」とかって。(実際、私は昨年末にこの商品をいなげやで発見してから、既に3回くらい購入しました。若干高価だけど、確かに美味です。「冷蔵庫から取り出した単なる豆腐」が「料理」になる。そりゃ売り切れるわ。)
「学校のランク付け、序列化は悪だ」みたいな論も昔から見ますが、多分そういうコトを書くヒト自体が、そこそこの大学を出ているのだろうと思います。ラー油にしろ、学校にしろ、ある程度のランク付けは、勝手に生まれてくるのだろうと思います。ブッチャケ「ヒト」のランクなんかも。
私自身も、勤務先の「受験難易度ランク」が上がるよう、いろいろな形で努力しているつもりです。一番真面目にやっているつもりなのは、楽しく分かりやすい授業を行うことです。生徒の満足度を高め、「あの学校良いよ」ってクチコミで広めてもらうために。凄く「効果が測りづらい」のは承知してます。でもまあ、教育なんて「そんなもの」でしょう。というか、私は教員の仕事は一種漠然としていて「簡単には評価できないもの」にしかなり得ないと、昔から思っています。
何しろ、受験生が集まれば、自ずと入学者の学力レベルは上昇する。

そもそも何で「大学生学力低下論」が起こったのか。それは「文科省が大学を増やしすぎた」っていう、簡単な理由に行き着きます。そりゃ、学生の質は落ちますよ。「高大接続テスト」とやらで高校にボトルネックを作っても、日本の学生の学力が上がる(というか、大学のセンセーが楽になる)ワケなんて無い。チョー無意味だ。税金の浪費、はんたぁーい!


と、中学入試が一段落し、授業を担当していた高3は学校へ来なくなり、お仕事のエアポケットに落ちた私は、つらつらと思うところを述べさせていただきましたm(_ _)m

最後に繰り返しておきます。
「高大接続テスト」、意味ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!


過去の関連する日記
大学全入時代に寄せて
日本の小学校に留年を
必修単位未履修


2017/07/20追記
未来(?)の関連する日記
「高校生のための学びの基礎診断」スか。笑えるわ。(2017年7月)

ここにあるのは2010年2月 3日 21:21の日記です。

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