真面目なフリをしている手前もあり、昨日は東京私立中学高等学校協会が主催する「講演会」に行ってきました。
日時 平成21年12月4日(金)午後6時~8時
会場 開成中学高等学校
演題 「活断層図ってどうやってつくるの?」
<日本の地震災害と、首都圏の地震防災について>
講師 中村洋介 氏(立正大学地球環境科学部 環境システム学科助教)
以下は覚書です。
---(中村氏のおっしゃる)活断層の定義---
第四紀後期(おおよそ約12万年前~現在)での活動が認められる、マグニチュード7程度の震源断層(の延長)が地表へ出てきたもの
最後の質疑応答にて : 何故12万年前以降と定義? →それ以前は「活動性」の検証が難しいという面があるためでは無かろうか
---活断層の見つけ方---
基本的に航空写真から見当をつけ始める
段丘面を切るような構造などが10km以上続く場合、上記定義の「活断層」に該当する可能性が出てくる---身近な活断層---
過去、立正大学熊谷キャンパスは、川の活動によって形成された崖線を跨ぐ形で立地されていると考えられていた
→崖線の上下の火山灰層比較の結果、崖のような構造は逆断層形の活断層によって形成された可能性が高いことが判明
日本の県庁所在地の大半は、活断層によって生じた平地の上にある---活断層の「何」を調べるの?---
1.位置・長さ(≒地震の規模)
2.種類・分布形態(→地下構造を類推)・セグメンテーション
3.過去に地震が起こった時期
4.活動性(平均変位速度:AA級~C級)・再来間隔---活断層調査三種の神器(と言われたもの)---
・トレンチ調査(メッチャ金かかる:数千万~億?)
・大規模ボーリング
・反射法地震探査---博士論文作成時の苦労話---
富山平野のボーリングは辛かった
地下数mまでのボーリングは、打ち込みこそ機械式だが、引っこ抜くのは人力
→それを論文に載せた分だけでも数十本
そして、その分析がさらに大変だった
磁化の状態を数cm~数十cmおきにサンプリングし、ある程度「当たり」をつける
→超音波をかけつつメッシュにて鉱物を拾い出す
→光硬化剤を用いて鉱物の薄片を作る
→屈折率を元にして広域テフラを同定
ヒマな学生時代だからこそ、できたことだろう---参考となりそうなサイトの紹介---
土木学会 斜面工学研究小委員会
http://www.jsce.or.jp/committee/jiban/slope/
地震調査研究推進本部 活断層の追加・補完調査について
http://www.jishin.go.jp/main/chousakenkyuu/tsuika_hokan/
感想
そもそも、活断層は「航空写真から探す」という点に驚きました。
中村氏の博士論文作成の話を聞き、実際の地理学・地質学の研究は非常に大変であるだろうことを思い出しました。
自然科学の研究は、体力と根気の勝負です。私の知る狭い範囲では。