天秤のないてんびん

ずーっと前から「おかしいなぁ」って思っているコトを。

電子天秤(てんびん)というものがある。
denshi.jpg
私の職場にあるのは、島津製作所の製品である。

「電子」は厳密に言うと「エレクトロン」のことであるが、この場合の電子は「電気で動く」という意味なのだろう。
で、電気的な部分が存在しない天秤と言えば、昔懐かしい「上皿天秤」である。
uwazara.jpg

「天秤」とは何か。
ドクターマウス、ってかその中に収録されている『岩波 国語辞典 第六版』によれば、

てんびん【天秤】
1 秤(はかり)の一種。中央を支えた梃子(てこ)の両端に皿をつるし、一方に測る物を、他方に分銅(ふんどう)を載せ、梃子が水平になるかどうかを見て重さを決める。「―にかける」(二つのうちからどちらかを選ばなければならない時、優劣・損得を比べてみる)
2 「天秤棒」の略。
ぼう【―棒】両端に荷物をかけ、肩にになうための棒。
ってコトなので、「上皿天秤」は間違いなく天秤である。

それに対して「電子天秤」。これはどう見ても天秤ではない。天秤棒が無いではないか! しかし、理科(?)の世界では「天秤」というと「質量を計測する機器」という意味になってしまうようなのだ。


って、ここまで書いてみて、よくよく調べてみた。

天秤は英語で"balance"であると。そういえばそうだった気がする。

で、MicrosoftBookshelf でそいつを調べると、以下のようになる。厳密には、使用している辞書は"New College English-Japanese Dictionary, 6th edition (C) Kenkyusha Ltd."ってコトらしい。"balance"の1つめの意味として「はかり」が書いてあったッス。

balance 【名】

1 【C】 天秤(てんびん), はかり (解説 はかりさお (beam) の両端に皿 (scale) をつるし, 一方に分銅 (weight), 一方に物体をのせて中央を支点にして重さを測る計器だが, 現在では広く「はかり」の意で用いられる)
a pair of balances 天秤一台.

ってコトは、「天秤」における「名前と姿のアンバランス(不一致)」ってのは、もともとは英語から来ているのでしょう。「はかり」は「バランス」であり、「てんびん」でもあるわけですねぇ。

なお、「不一致」の英訳は、"New College Japanese-English Dictionary, 4th edition (C) Kenkyusha Ltd."によれば、

ふいっち【不一致】
《形式》 disagreement; 《形式》 inconsistency (矛盾)
ってコトになるそうです。

ここにあるのは2006年9月 1日 21:13の日記です。

ひとつ前の日記は「夏休みも終わるなぁ」です。

次の日記は「でんじろうLOVE (及び、ノベック1230に関しての疑問)」です。

最近の日記はこちらで見られます。過去に書かれたものはアーカイブで見られます。