身近な物理学

身近なところで「シンドラーエレベーター」ってヤツを見たこと無い私である。日本でもそれなりのシェアを持っているらしいのであるが。

今回の事故が起こる前から、私は「エレベーターって安全なのか?」って思っていた。何となくだけど、エレベーターに出入りする際は、早足を心がけたりしていたのだった。だって、エレベーターの箱(ゴンドラ)が突然落ちたりした日には、床とエレベーターの天井でギロチンにかけられるのは目に見えていますから。今までのトコロ、私は幸いにして「エレベーターでのギロチン」に遭遇していない。

そんななか、港区の住宅で事故が起こったわけだが、私は今回認識を新たにした。それは「エレベーターの箱は、放っておくと上昇する」というコトである。
確かに、ワイヤー式のエレベーターでは、エレベーターの箱と逆向きに「おもり」が移動しているのを眼にする。職場のエレベーターは油圧式だそうであり、出入り口にガラス窓があるわけでもないので「おもり」は見えない。しかし、私が現在住んでいるトコロは「ワイヤー式のエレベーター」が備え付けてある。また、その扉は「ガラス窓付き(防犯対策?)」になっているので、エレベーターのゴンドラが上に移動する時には、滑車で接続されていると思われる「おもり」が下に向かって移動するのが見える。逆も同様。
これからはエレベーターの出入りの際、ゴンドラが突然上昇しないかどうか、気をつけながら早足でコトを済ませようと思う私なのであった。ただし、ゴンドラ乗車人数が少ない場合。定員一杯に乗客がある場合、やはり重くなっているゴンドラは下がるでしょうから。

エレベーターで怖いコトっていうと、「ゴンドラと床の隙間に物を落とす」ってヤツがある。まあ、これは電車の乗り降りでも同様であるが。
例えば、カバンそのものはそれなりに大きいから、ゴンドラと床の隙間あるいは電車とホームの隙間にはあまり落ちないだろう。また、カバンの内容物が突然勝手に飛び出すことは無さそうだ。それに対して、ズボンなどのポケットに突っ込まれている物は、何かの拍子に落ちることがありそうだ。そして、ポケットに突っ込んでいる物っていうと、ケータイとか財布とか家の鍵とかだ。こいつらはどれも重要である。
これまた幸いにして、私はエレベーターや電車の乗り降りの際、これらの重要物を落としてしまったコトは無い。これからも落とさないように心がけるつもりだ。何しろ、エレベーターについては、隙間に落とした物を拾ってもらうことの手間は計り知れない気がする。
落とし物といえば、どこかの地下鉄の駅で「エスカレーターのピットに定期券を落とさないでください」って張り紙を見たことがある。確かに、定期券みたいに薄っぺらい物ならば、エスカレーターの隙間からその下の空間(ピット)に落ちるコトも十分あり得る。その1枚の定期券を拾うために、確実に万単位のカネ(人件費や作業費用)が必要になりそうな気がする。駅職員としては「やたらに物を落とすなよ」って考えてのポスター掲示なのだろうが、定期券を落としたくて落とすヒトは居ないだろうから、張り紙に効果があるかどうかは甚だ疑問である。

なお、私が本当に怖いと思うのは遊園地である。
ジェットコースターはレールと車輪が見えているからまだ信頼できそうである。特に怖いと思うのは、単純に空を旋回するようなタイプの乗り物である。自分が乗っているゴンドラと駆動部を接合するワイヤーなりジョイントが突然破断してしまったら、ゴンドラに乗ってるヒトは落ちる。ちょっと理科チックに表現すると、重力加速度を受けながら地面へ向けて落下するってこった。また、円運動を行っている途中に放り出されたらば、まっすぐに地面に落ちる以上のダメージを食らうに違いない。そのことに気付いてしまったのは中学生の頃だっただろうか。中途半端に物理学を勉強し、世の中に怖い物が増えてしまったのであった。あれ以来、どうも遊園地の古めかしい乗り物には不安感を覚えてしまうようになった。
更に余談?だが、大人になり怖く思ったのが「自分の頭の巨大化による怪我の恐れ」である。
中学生のトキ、ディズニーランドはスペースマウンテンに乗った際には気付かなかったが、数年前に久しぶりに同じ乗り物に乗って知ったコトがある。暗闇を小さな回転半径でくるくる回り続ける「あの乗り物」は、ヒトの首に多大な負荷を要求するという事実だ。
中学生の私の写真と現在の私を比べると、確実に頭の大きさが異なっている。当然大きくなっているのだ。そして、スペースマウンテン上の中学生の私の頭と、スペースマウンテン上の現在の私の頭は、変わらず同じスピードで運動したはずではある。
そして、問題が生じる。物理学の基本法則にあるように、異なる質量の物体に同じ加速度を生じさせたい場合、加えるべき力は質量に比例させなければならない。そして、加速度運動を強いられるスペースマウンテン上の私の頸部は、昔よりも大きな力を発揮して私の頭部を支えなければならなくなった。
まあ、簡単に言うと「大人になって乗ったスペースマウンテンでは、首がモゲるかと思った」ってコトだ。あれには驚きましたわ。

ここにあるのは2006年6月 7日 21:49の日記です。

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