生物の授業で生徒に顕微鏡スケッチをやらせた。いや、スケッチして頂いた。
私自身も高校・大学と、顕微鏡でのスケッチを何度もやらせて頂いた。
大学時代「生物学実験」って授業があったのだが、水中の微生物のスケッチという実験(実験なのか?)があった。他には「物理学・化学・地学実験」もありました。理科のスケッチや美術のデッサンってのは、集中するとそれなりに面白いものではあるが、やる気を持たないとあまり面白いものでは無い。
私自身は、大学の授業についてはそれなりに真面目であったという自負がある。
大学時代、要領の良いヒトは先輩から譲り受けたレポートに貼ってある微生物のスケッチを見ながら、それをまたスケッチ(模写)していた。私は真面目に「万葉池」なる場所で生物の採集を行った。その池は水道水が湧き出ている、由緒正しき東京学芸大学内の名所(迷所)なのである。
顕微鏡で見えるような微生物は「ヘドロみたいな物体群」の近くに存在していることを、改めて認識した記憶がある。ワムシとかツリガネムシとかを初めて見て、その造形に感心した。静止画像よりも実物が動いているヤツの方が楽しいですね。特にツリガネムシの「口?の周りの毛」とか「バネみたいな脚みたいな部分」だとか。
話は変わり高校時代、「生物学実験」で印象に残っているデキゴトについて。
都立小石川高校1年次、生物と地学の授業があった。生物の実験のひとつに「植生の観察」という実験があったのだ。校庭の一角に実験のための区画(縦横1m)を設け、1年間に渡って植生の変化をチェックし、それを年度末にまとめるというヤツであった。
大体、その実験の設定自体に無理があるのだ。その都立高校の校庭は一応土なのだが、定時制も同居していた。そんなわけで「午後5時には部活を終えて校舎を出ろ」っていう「全日制高校」だったのだ。噂によるとその高校の組合系も強かったとか…。
で、校庭を使用する部活動は、サッカー・ラグビー・陸上・軟式野球・バレー…って感じで、とても人口密度が高い放課後の校庭だった。なお、私は合唱の「音楽研究会」に在籍していた。そして、音楽系の部活動として吹奏楽の「古典音楽研究会」、ジャズの「軽音楽研究会」、その他にもエレキバンド(表現古すぎ?)をやる「フォークソング研究会」もあったような…。どの部活動も名前と生業が一致しているとは思えない、今でも。合唱部での1年先輩だった指揮者のカタ、レベッカのコピーバンドにも所属していたなぁ。
で、ハナシは生物の授業へ戻る。真面目な高校1年生の私達、先生に言われるままに4月頃、校庭に植生調査の区画を設けるのだ。
しかし、その区画は運動部や体育の授業で踏まれまくってしまうのである。自分たちの設定した区画がどこに行っちゃったのか、ほんの数日で分からなくなったような記憶がある。
で、数ヶ月が経過する。
年度末も差し迫った頃、まじめな私は「作成していないレポート」の存在に気づく。そして、その時持てる植物学の知識を駆使し、校庭に見受けられる(見受けられた気がした)植物とその年間の流行廃りを後から予測した。
まあ、私は6年弱茨城で生活していたので、ある程度は植物の1年間の栄枯盛衰を知っているつもりであった。で、そのデータ(オオバコ・ペンペングサなどを頑張らせていたような気が…)を班員に分け与えたのである。そのデータを用い、班員は各々レポートを作成した(ハズ)。
それだけなら大したコト無い。
そして年度の終わりの終わり、私は驚愕した。
クラスのほとんどすべての班のデータが、私達の班のデータと非常に似ていたから。
私の想像する小石川高校校庭における植生の遷移と、現実の植生の遷移が一致したわけではない。私の捏造したデータが子引き孫引きされたらしく、G組における植生調査では、ミョーに似通っているデータが並んでいたのですね。
つまるところ、私は思いっきり「実験データを偽造」したのである。そしてそれは流通した。
多分『Nature』や『Science』などに提出する論文でのデータ捏造は問題なのだろう。
私はここにデータ捏造を告白する。まあ、それらのレポート群がどこか公的?な機関へ提出されたわけではなく、高校の授業で生物を担当してくれた八重樫先生の前を流れて、私(達)の手元に戻ってきただけだろうけれども。