「オキシクリーン」という漂白剤?がある。私はあの商品を実際に使ったことはない。何故なら、あのテレビショッピングの映像は信用できず、買いたいと思わないから。
「オキシクリーン」も数年前に見たチューブ入り洗剤(商品名忘れた)の場合と同じだった。汚れたシャツやレンジフードやボールの水に洗剤を使用し、「ほーら、こんなに汚れが落ちました」って映像を流す。あの映像をよく見ていると、汚れは「落ちる」というよりも「消えて」しまうように見えるのではないだろうか?そうだとしたら、あなたの目は正しい。
私が今までテレビショッピングで見たことがある汚れのほとんどが「黄色~茶褐色」あるいは「青紫~黒色」のいずれかであった。そして、その汚れはどちらも綺麗サッパリ無色透明になってしまう場合が多い。油で汚れたレンジを洗剤入りの布で拭いた場合、油汚れが布に移動するならまだしも、「汚れそのものの色が消える」というのは、どういうコトだろうか?
高校時代、化学を選択したヒトは「フェノールフタレイン」という指示薬の名前に聞き覚えがあるのではないだろうか?あの指示薬は「酸性~中性」では「無色」なのだが、「アルカリ性」では「赤紫色」になる。(参考文献:ページ中盤に画像があります)
こういうテレビショッピング、想像できる?(阿久津真矢で)
1:ボールにアルカリ性の液体(水酸化ナトリウム水溶液など)を入れておき、そこにフェノールフタレインを入れる。色は当然の事ながら「赤紫色」である。ただし、この準備段階は放映しない。
2:出演者はボールの赤紫色の水を指して言う「ここに汚れた水があります」
3:「○○○クリーン」という名のチューブから歯磨き粉みたいな洗剤をちょっと出し、それをボールの水に溶かす。(なお「○○○クリーン」には、硫酸が入っている。)
4:出演者は言う「ほーら、汚れが消えてしまいました」(当然、ボールの水は中性や酸性になるから、フェノールフタレインの赤紫色は消え、無色透明の水が出現?する。)
「オキシクリーン」テレビショッピングでの汚れの色は、「黄色~茶褐色」あるいは「青紫~黒色」が多い。油汚れにしろ、シャツのシミにしろ、ボールの水の汚れにしろ、ほとんどが上記の色に当てはまるのでは無かろうか?私の想像だが、「黄色~茶褐色」の汚れは「ヨウ素(あるいは臭素?)」であり、「青紫~黒色」の汚れは「ヨウ素デンプン反応:ヨウ素とデンプンを混ぜたもの」では無いかと思われる。
「ヨウ素」という物質は、「還元剤」に触れた場合、無色の「ヨウ化物イオン」に変化するのだ。また、「ヨウ素デンプン反応」の起こっているデンプンに「還元剤」が触れると、「ヨウ素」は「ヨウ化物イオン」になり、ヨウ素デンプン反応の紫色は消えてしまう。そして「オキシクリーン」には「還元剤」としても作用する「過酸化水素(厳密には過炭酸ナトリウム)」が入っているのだ。
何を言いたいのかというと、「オキシクリーンのテレビショッピングの映像では、最初から消えるような汚れを使っている」というコト。あの映像は単なる「酸化還元反応」つまり「色が変わる化学実験」でしか無いのだ。
私があの映像を監修しているなら、念のために還元剤を多めに入れておくであろう。ヨウ素の色が良く消えるように。
「そんなの分かって買っているのよ!フンッ!!」ってコトでしたら、スイマセンでした。
2009/12/15追記
参考画像アップしました。
日独合作ペテンショー「イージークリーン ウォッシュパワー」