メガネというと、昨今はプラスチックレンズが主流だが、数年間使っていると明らかに変色が認められるのですね。
プラスチック内の原子間の結合が徐々に切れていくのでしょう。それによって特定の波長の電磁波を吸収するようになり、透明だったレンズが色づいてくる。なので、プラスチックレンズのメガネをずーっと掛け続けていれば、いつかアナタも「レイザーラモンHG」です。
なんてコトはありません。どこかで平衡に達し、そこからはあまり色が変わらなくなるのでしょうね。
逆に、理論上は濃いサングラスも色が薄くなっていくのでしょう。ただ、元々透明なメガネと違って、色が褪せていく度合は肉眼では判別するのは難しいでしょうね。
前から思っていて、記したこと無かったコトをまた思い出しました。
屋外の看板って、何で強調したい部分を赤色にするのでしょうねぇ?
皆さんも見たことあるハズです。金属に黒や赤でプリントしてあったハズの看板が、日光に当たりすぎてしまったものを。黒いインクは残っているものの、赤いインクは退色してしまい、場合によっては読めないことがありますよね。
何故赤インクは退色しやすいか、簡単に説明しましょう。
黒いインクで最も古典的なものは「墨」でしょう。墨の原料の「煤(すす)」は安定した物質ですから、いくら日が当たろうとも基本的に分子構造は変化しません。彼は光を吸収し続けます。従って、黒い墨は何年・何百年経っても墨のままであることが多いです。
それに対して、赤いインク。「赤く見える」ということは、それ以外の波長、例えば紫や青の光を「吸収」しているわけです。それは赤い顔料もある程度同じです。赤い光は波長が長く、エネルギーが低い電磁波です。もっと波長が長くなれば赤外線ですね。逆に青や紫の光は波長が短く、エネルギーが高い電磁波です。もっと波長が短くなれば紫外線です。
青いインクは低エネルギーの赤い光を吸収するだけですから楽です。あまり分子構造が変化しません。墨には負けるでしょうが、比較的長い間、その色を保持する場合が多いです。
それに対して、赤いインクはエネルギーの高い青~紫の光を吸収するように運命づけられています。働けば働くほど、つまり光を吸収すれば吸収するほど、自分の体(分子)が壊れていくわけです。そして、いつの間にか見えなくなってしまう。
かわいそうな赤インク。
金属製の看板を作成し、数年間にわたって日光にさらす場合、重要なことは黒インク(黒い顔料)で印刷しておくべきだと思ってました、ずーーーーーーーーっと。赤インクは退色してしまいますから。