明らかに大学入試は推薦枠が大きくなってきている。ま、4年制大学の推薦入試に対する制限も緩和されているのは確かだし、短大は入学者全員を推薦入試で確保しても良いわけだし。
現在、高校3年のクラスを担任しているのだが、3年前も6年前もやはり高3を担任していた。
3年前は大学への「内部進学」が主体のクラスだったので比較できないのだが、6年前は現在と同じようなカラーのクラス(外部への進学希望者が多いクラス)を担当していた。そのときは39名クラスであり、今年は33名のクラスである。そして、「内部進学」を選ばなかった生徒は6年前も今年も30名弱であった。
6年前は推薦書の原稿を10枚も作成しなかったようなのだが、今年はその2倍の20枚近くにはなるであろう。推薦入試というのは、恐らく大学の教官にとっても面倒な手続きのハズである。私が大学へ入った頃、約15年前ってのは、基本的に一般入試しかなかった記憶がある。稀に推薦入試もあったようだが、評定の基準が高くて全然手が届かなかった。入試といえば一般入試であり、大学へ入学する生徒はほとんどがその試験を通過してくるから、ある程度学生の質は揃っていたはずである。
それに対して、昨今の推薦入試の多さね。AO入試なんてヤツもあるから、受験機会はどんどん増えている。教官や大学事務職員の手間も増えていることでしょう。高校教員の推薦書作成の手間は増えています、確実に。
大学にとっては、推薦入試枠を増やすと、経営上は利点が多くなってくる。
・入学者数の見通しが立ちやすい。
・受験料収入が多くなる。
・一般受験の枠が小さくなり、必然的に合格に必要な偏差値が上昇する。つまり、大学の見かけ上のランクが上がる。ただし見かけ上。
しかし、教育上の利点はほとんど無いのではないだろうか。
入学してくる学生のレベルはバラツキが大きくなるため、場合によっては高校レベルの補習を行うそうである。これは数年前から話題になっていますよね。
大学の入試直前、「勉強するか寝てるかメシ食うか」という生活を1ヶ月以上続けた経験は、私にとって決して悪いものでは無かった。ま、大学に合格したから言えることであるけれど。あのトキに頭に叩き込んだことは、大学入学後も、その後の教員生活でも役に立っていると思う。不毛な修行僧のような生活だったが、「おれはあれだけやれたのだ」という自己評価に繋がっている気がする。また、受験を目の前にしたオシエゴ達への説得力にも繋がっていると思う。
ま、そこまでしなきゃ大学へ入れなかったから努力したわけだけど。
と、云うコトは、今の高校生は勉強しなくても良いわけだね、大学に入る為だけなら。
しかし、その2~数年後、大学生などが名のあるカイシャに入ろうとすると、SPIとか云う高校の勉強から毛が生え替わったようなテストがあるらしいし、やっぱ勉強はやっといて損はないだろう、阿久津真矢先生の言うように。