私が本格的に駄文を書くことに目覚めたのは、大学時代である。
東京学芸大学にあった歩いて旅をするサークル「伸歩会」に所属し、そこの部室に存在した「素語録(すごろく)」っていう雑記帳兼連絡帳に文章を書き始めたのが、この作家活動の始まりと言えよう。素語録は「双六」に掛けてるわけでして、なかなかしゃれた題名ですよね。
私が大学に入った1989年には、様々な部室群が存在したのである。その大学の敷地は元々日本軍が使用していたという場所であり、元兵舎だかなんだかをサークル等の部室として使用していた。思えば、電気は使い放題であったし、少し歩けば水道も存在した。その代金を払っていたわけではないから、クニというのは太っ腹である。さすがに私が卒業する時には部室棟が解体され、1つのコンクリ製の建物にそれらの部室群が収まっていったのではあるが。
その最初の段階ではどうやってスペースの分配をしたのか忘れてしまったが、一応ある程度は民主的に土地を分配したような記憶がある。しかし、徐々にサークルや部活間の力関係(腕力とか?)によって、それぞれの団体が占めるスペースは拡大もしくは縮小していった様子である。私の所属したサークルは数年前から「潰れた」とかいう噂を何度か聞いたが、その割には学園祭で活動しているのを見たこともあった。
私が大学を卒業した1993年春、「素語録」はコンクリ製建物のロッカー内に収められていたハズであるが、今はもう捨てられちゃったのだろうなぁ。読み返したら読み返したで面白いのだろうケド。