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見づらい配色の教科書と、文部科学省につっこむ。

2008/2/15 上梓

 機会あって生物の教科書を見ていました。そして、「前時代的な配色」を発見しました。

 世の中には、『色覚に関する指導の資料』という冊子があります。出したのは文部科学省です。
 数年前は「pdf化」されたものは無かった気がするのですが、大阪府教育委員会のサイトに pdf版 がありました。私も冊子版を保存しています。毎年発行されるわけでは無いようです。ぱすてるによれば、平成15(2003)年5月に発行されたようです。何故、ファイルが大阪府に置いてあり、文部科学省には無いのでしょうか。この pdf は、紙からスキャンしたものでは無いようで、非常に見やすいです。
 色々と悪評高い気がする大阪府です。しかし、その教育委員会は「色覚異常に関すること」について、良い仕事をしていると思います。

 で、その見づらい教科書の一部はこちらです。

生物2にあった地図
『生命の探求 生物 II 』より

 この『生命の探求 生物 II 』(教育出版)をスキャンしたのは2週間くらい前です。今日、改めて見てみると、やはり色の判別に苦しみます。紙の教科書とスキャンされたものを見比べると、若干スキャンされたファイルの方が見やすいような気がします、私の場合。
 勤務先に於いて、この教科書が採択されたのは、各社の教科書の内容を見比べた結果です。
 「平成16年印刷」と「平成19年印刷」のものを見比べてみますと、若干色味が異なる気がします。しかし、盛られている情報は同じです。色遣いがいただけない。

 冊子『色覚に関する…』では、以下の部分が「アンダーラインと太字」で、特に強調されています。

誰でも識別しやすい配色で構成し、色以外の情報も加える工夫が必要です。
 この図には、「色以外の情報」が存在していないのです。だから拙い。こういう教科書が未だに存在しているということに、驚きました。このことを記したメール、教育出版にも送ってみました。
 今後もこうした活動(ツッコミ)を、できる範囲でやっていかなければならないと、改めて感じましたとさ。

 

 余談ですが、冊子で強調されている部分は、他には2か所しかありません。そのうちの1つは以下の通りです。

進路指導の基本は、すべての児童生徒が、自らの生き方を考え、自己の能力や適性を正しく理解し、自分に適した進路を主体的に選択できるようにすることが重要です。加えて、将来への生き方や進路の設計を明確に描くことができるようにすることが大切です。
 「自己の能力や適性を正しく理解し」というのは、まぁ分かることにします。しかし、「生き方や進路の設計を明確に描くこと」って、できます? 37歳の私、多分30年以上、常に悩み続けて生きてきた気がします。これからも悩み続けるでしょう。
 何で、こんな文面を「しゃあしゃあと」載せられるのでしょうか。さすが「お国」の「偉い人」たちが作った文章です。「無謬のかほり」が漂っています。

 そんな文部科学省、最近は少しヒトらしくなったらしいです。

これからの子どもたちに「生きる力」がなぜ必要か、「生きる力」とは何か、ということについて、文部科学省と学校関係者や保護者、社会との間に十分な共通理解がなされなかった
 とかね。
 昨年秋に披露された この資料の18ページ以降、ごく密やかに「過去の失政を認める文」が書いてあります。この174ページの資料、広く国民に「意見を募集」したらしいです。私も意見してみました。しかし、それらの意見が反映されたような気配はありません。
 無謬を信じる無駄な役人、この国には多すぎるんじゃないかって思ったりします。

2020/2/6追記 上記リンク先のファイルが闇に葬られていたので、回収しておきました。そのpdfはこちらに。